技能グランプリとは、日本全国の熟練技能士達が、年齢に関係なく、
日本一を競い合う大会です。
出場する選手は、各地区で選出された技能士たち。
更に技術を磨き、己の腕をかけて、チャレンジする。
そこで優勝することは、クロス職人として日本一の称号が与えられることを意味するのです。
縁あって、そんなステージに、自分も2回チャレンジした。
1度目のチャレンジの話は、こちらで紹介していますので、よかったら、こちらをどうぞ。
そして、2度目のグランプリに出場したのが平成29年の静岡大会。
エントリーの締め切りが8月いっぱいぐらいと言われてました。
1度目の敢闘賞から2年。
優勝を逃した悔しさはあったものの、なかなか、もう一度チャレンジするって気にもなれず、
ズルズルと9月に入ってしまいました。
出場したい気持ちは確かにあったけれど、2年前の根気と集中力が今もあるのか?
あの時の闘志が今でもあるか?
無理だね・・・ って事で終了~(笑)
ところが、9月27日。
錦糸町で行われたジェイシフ関東技能競技大会を見学に行った時に、状況が急展開します。
審査委員長を勤めていた技能士会の飯島会長から、絶対グランプリに出なさいと説得され・・・
ほぼ命令のような感じでしたが・・・
でも、逆に踏ん切りが付いたというか、誰かに背中を押されるのを待ってたような気がします。
さて、2度目のチャレンジ。
正直言って、1回目ほどのギラギラ感は全くなかった。
練習も前回ほどでもなく・・・
2年前のことだけど、何回か練習すれば感覚は戻り、
前回からそのまま継続された感じでした。
ただ、あの時の失敗や勉強不足だった点を修正し、
少しずつ進化させていきました。
1回目の時は、とにかく他人のやってないこと、
面白い事をやってやろうという気が強すぎて、
この競技の本質を見失ってたような気がします。
審査の基準がどこにあるのか、審査員は何を見て、どの技術を評価したいのか?
前回大会からの1年半くらいの間に、自分なりに考え、色んな経験を積み、
考え方も柔軟になったと思います。
20年程前にグランプリの壁装で優勝し、
次の大会では表具部門で優勝した超人と知り合う事が出来、
その方からも沢山のお話を聞かせて頂きました。
1度グランプリに出たことにより、人脈が大きく広がったし、
様々な場所でグランプリの深い話をしたり、聞くことが出来るようになりました。
1回目の時と比べて、いくらか技術的に進歩もしたかも知れませんが、
大きく違ったのは知識と情報です。
知識という点では、表具の部分が大きい。
表具のしきたりというか常識と言うか。
そこをスルーして、壁装では戦えません。
元々、壁装の検定試験では
表具の要素が大きい。
これは壁装の技術の根底に表具がある事を
意味してます。
昔から受け継がれて来た技術を
後進に伝えていくのも、
我々の使命ですよね。
で・・・
勉強すればするほど
分かってくることがあります。
それは奇抜な事、斬新な事は
捨てなきゃならない。
前回あれほど拘った、
他人がやってない事、
自分だけのオリジナルっていう
楽しみを捨てる。
あくまで基本通りにやって、いかに失敗を少なくするか。
グランプリは得点で争われます。
いかに減点を防ぐかが勝利への近道。
なので、今回はオリジナル的な部分は少なく、極めてオーソドックスな方法で挑みました。
なんだかね。
そんなノリで練習してると、つまらないと言うか、今いち気が乗らない。
前回に比べて練習量も減りましたね。
ちなみに、左上の写真。
織物クロスのジョイント位置。
本番ではこの位置とは違う位置でジョイントしました。
本番前日ギリギリまで考えてたので、完成写真は撮ってないんです。
撮っておけばよかったなー。
まぁ、そんなこんなで、
独創的なことを考える楽しみを捨てたグランプリだけど、
今回の大きな楽しみは、別にありました。
それは、他の出場者です。
それはそれは、自分の知る限り最高のメンバーでした。
もちろん、今回出場してない凄い人も沢山いますが、
これだけのメンバーをよくぞ一堂に集めたものだと・・・
まさにグランプリならでは。最高の舞台だと思いました。
結果はどうであれ、これだけのメンバーと一緒に戦えるのは、
自分の職人人生の宝物になると思いました。
確か出場者28人。
そのうち、半分くらいは知ってる人。
仲良くさせてもらってる人も何人もいます。
ホントは一人一人の事を、細かくエピソード交えて書いてみたいけど、
長くなり過ぎるわな(笑)
もう次の神戸大会も終わり、新チャンピオンも誕生して、
私が今さらどうこう言うのもおこがましいのですが、
あの時の顔ぶれは僕の中で史上最高、最高のグランプリでした。
思い出しながら、書いていたら、昨日のことのように思い出され、
前置きだけで、ながーくなっちゃったので、
次に続く・・・(汗)
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